2020.08.28

社長インタビュー(その1)

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代表取締役社長 中通慎二氏(右)と 聞き手の取締役 宇田野博之氏(左) 

社長インタビュー(その1)

代表取締役社長 中通慎二 に聞く
聞き手:取締役 企画本部長 宇田野博之
撮影・編集   村上雅弘

宇田野
株主総会の運営お疲れさまでした。2020年度活動を始めるにあたって
代表取締役社長の中通さんに今年の抱負と中期的な展望をお聞きします。
2回に分けてお伺いします。
まず、今年度の活動について

中通社長
株式会社NUMTは昨年2019年12月下旬に法人設立いたしました。
当法人のミッションは 東邦大学 細胞治療学講座 武井義則教授の基礎研究に基づき、再生医療の実用化をめざします。

2020年度の活動について
特許出願関連では2020年5月末に事業の根拠となる特許を出願しました。

3月からの新型コロナウイルスの影響で移動や会議の制限がありましたが
武井教授と 谷・阿部特許事務所の内田先生の頑張りで無事に出願できたことはとても素晴らしいことで、お二人に感謝しています。
今年度には次の特許も出願予定です。
出願から1年後にはPCT移行し、外国出願を進めてまいります。  

次に武井先生の基礎研究をさらに進めていただくためには研究の人材を確保する必要があります。
武井教授には基礎研究をさらに進めていただきます。NUMTとして実用化研究のための人材を採用し、武井教授の指導の下、実用化のための研究も開始いたします。
そのためには
公的助成金を積極的に活用したいと考えています。

NUMTの経営では単なる銀行からの借り入れや、ファンドからの出資には頼らずに、自己資金と国からの助成金を組み合わせて開発していきたいと考えています。

事業化を実現するためには開発戦略が重要ですので、2020年度から事業化の準備を始めます。
事業化への戦略策定(第1次)
私たちNUMTの開発基本方針は順法精神を大事にしていますので
関連する法的規制、ガイドラインを調査して、中期的な開発戦略を策定したいと考えています。
これらに関しては途中で見直しながら、研究の進捗と方向性を見極めながら第2次、第3次と検討を重ねる予定です。

一方で、対象とするペットの医療ニーズ調査をいたします。
NUMTの実用化研究ではまず、ペットを対象といたします。この開発モデルが我々の特徴になります。

宇田野
実用化するのはどんな技術ですか?

中通
東邦大学 細胞治療学講座 武井義則教授の研究に基づき再生医療の実用化をめざします。

宇田野 どんな再生医療ですか?

中通社長
科学的名称は脂肪由来間葉系幹細胞を用いた老化の再生治療です。細胞治療の中でもこの細胞は最もよく研究されています。
再生治療に用いる細胞としてはES細胞や山中先生のiPS細胞が有名ですが、まだ研究途上で安全性に問題があると認識しています。
一方、脂肪細胞はもともとその個体にある細胞を取り出して、戻すので、現時点では最も安全性が高く実用化研究も進んでいる細胞です。

この間葉系幹細胞(MSC)は免疫調整作用、抗アポトーシス作用、再生促進作用など再生医療に適した作用を持っています。
さらに、体のどこから取るかというと脂肪細胞が比較的安全に採取が可能で、脂肪由来間葉系幹細胞については研究が進み、
増殖能力も高く培養技術も確立していますので実用化に非常に近いと言われています。

脂肪組織を取り出して、そこに含まれる幹細胞に、ある遺伝子を発現させ、
体内に戻すとマウスで若返り効果が現れます。私たちの特許技術を用いると、
老化に伴う耐糖能が改善したり、認知機能が改善いたします。
つまり、再生医療としてペットたちの老化に伴う糖尿病を治療したり、認知症の治療に役立てたいと考えています。

このようにMSCはかなり研究されている細胞ですが、実は細胞治療の中ではどこに行って効果を発揮しているかなどは不明なままです。
私たちは武井先生をはじめ研究者たちの研究の成果を見守り、活用しながら実用化を進めて行きたいと思っています。
                   (つづく)